人気資格ということもあり、行政書士の教材は各社から販売されています。
テキスト数冊で終わるものもあれば、テキストに加えCDやDVDなどの講義がセットになったものもあります。
色んな教材があるので色々試してみたいかもしれませんが、教材を何セットも買ってやるわけにもいきません。どれか一つを選んで勉強することになります。
しかし、種類が多くて「一体どれを選んだらいいの?」と思ってしまう人も多いのではないでしょうか。
全ての科目が入ったフルセット教材が必須
行政書士の教材は、通信教育に代表される「1から始められるフルセット教材」が基本です。
行政書士の試験は、憲法や民法、刑法など、数多くの法律を勉強しないといけないので、それぞれのテキストを自分で買い揃えるより、フルセットで一括で揃えてしまった方が楽ですし、勉強漏れも防げます。
ある程度法律を学んだことがある人であれば、過去問の教材だけでクリアできるかもしれませんが、それはごく少数でしょう。
行政書士の試験を受ける人は、初めて法律を学ぶという人も多いので(筆者がそうだったように)、1から学べるフルセットがおすすめです。
フルセットなら、途中で教材を買い足す必要もありませんし、この教材だけきっちりやれば合格できるという明確なラインがあるので、余分なものに手を出す必要もありません。
通信教育各社は、大抵フルセットの教材を提供しています。どの会社のセットを選んでも、きちんと最後までやり切れば、合格にたどり着く実力を付けることは可能だと思います。
ただ、会社によって教材の構成、わかりやすさ、マスターするまでの流れやコンセプトが異なります。
教材を選ぶポイント
テキストのわかりやすさ
行政書士の試験科目は、主に法律です。
法律って難しい文章ばっかりで面白くない、というイメージの人が多いんじゃないでしょうか。実際、条文をひたすら読んでもつまらない、それが法律です。眠くなるだけです。
法律を読んでワクワクする人もいるかもしれませんが・・・、それはごく一部でしょう。筆者も、必要がない限り法律は読みません。難しく書いてあって、読むのは疲れます。(^^;
そんな法律ですが、試験の科目なので勉強せざるを得ません。やはり法律は、お堅いものだし、難しいものです。
しかし、それを面白くない、つまらないと思ってしまっては、勉強がなかなか進みません。
特に、行政書士の試験勉強はある程度の長期にわたります。継続して進めていくためには、モチベーションを失いにくい、わかりやすい教材が必須です。
そこで、興味を持てるようイラストや図解を多用し、小難しい法律もわかりやすく教えてくれる教材、これがベストです。
なので、テキストのわかりやすさというのは、教材選びでは必要不可欠なポイントです。
テキストの構成
テキストは、科目ごとに分かれているものにしましょう。
本屋さんには、行政書士試験はこれ1冊でOKみたいな教材が売られていたりしますが、そもそも1冊で全科目をカバーできるような試験範囲ではありませんから、1冊だけの教材では、どう考えても足りません。やり終わっても合格まで足りない教材は、やっても意味がありません。
しっかり実力をつけて受かるためには、科目ごと(法律ごと)にテキストが分かれているものがベストです。合格に必要な量をしっかりカバーするためには、科目ごとになるのが普通ですからね。
テキスト中心か過去問中心か
教材には大きく分けて2通りあります。
- 「テキストをしっかりやってから問題をやりましょう」というテキスト中心タイプ
- 「まずは過去問にチャレンジして、過去問を分析して覚えていきましょう」という過去問中心タイプ
筆者が思うに、全範囲をカバーするためにはテキスト中心タイプじゃないと無理だと考えています。
過去問中心タイプは、試験範囲が狭いとか毎年同じ問題が出るとか、そういう試験には向いていると思いますが、さすがに行政書士の試験には不向きだと考えます。
過去問での学習は、問題から逆算することになるため、ピンポイントで知識を入れていく形になりがちです。いわば、点で学習することになります。行政書士試験のボリュームを考えるなら、頭から順番に体系的に学んだ方が効率はいいでしょう。
ですので、まずはテキストで実力を養ってから過去問をやる、という流れの教材がおすすめです。
授業を受けながら勉強したい人には、CDやDVD付きで
これまでやってきた勉強というと、学校で先生が授業をして教えてくれる形でやってきたから、授業の形じゃないとなかなか勉強を進められないという人も多いかと思います。
テキストを自分で読むだけでは理解できるかどうか不安だし、順番に教えてもらいながら進めたい、という人には、講義のCDやDVDがセットになったものがおすすめです。
通信教育は、テキストを読んで理解していくだけの、いわば自習のような形になります。孤独な勉強は通信教育の宿命であるとは言え、テキストに書いてある内容をひたすら自力で理解しないといけないので、壁にぶつかったときに困ります。また、モチベーションという点で維持するのが難しいのも確かです。
自習だとどうしても怠けてしまって進まないけど、授業のDVDがあれば半強制的に勉強を進められる、という点もメリットとしてあるので、CDやDVD付きの教材はおおむね好評です。
合格実績のある教材を
当たり前かもしれませんが、実際にその教材で合格者を出している教材、合格実績のある教材を選びましょう。
その教材を完璧にマスターしても合格しないような教材は論外です。
で、おすすめの教材はどれ?
筆者が選ぶポイントは、「わかりやすく、法令ごとにテキストが分かれていて、過去問ではなくテキスト中心で、合格実績があるもの」となります。そして、「できれば安いもの」。高ければいいというものでもありませんからね。
授業を受けながら勉強を進めたい人にはフォーサイト、授業は見ずに自分でやるという人にはユーキャンが向いています。講義CD・DVDが必要かどうかで、選んでもらったらいいと思います。
フォーサイト
この教材のポイントは、テキストがフルカラーでイラストが多く、非常にわかりやすいということ。難解な法令も、イラストで説明することで一気に理解が進みます。もちろん、法令ごとに分かれたテキストになっています。
また、基礎が終わってから過去問というカリキュラムという点も非常に評価が高いです。急いで過去問をやったところで、基礎ができていなければ解けませんからね。そういう流れで組んであるので、カリキュラムどおりにやっていけば合格できる実力が付くはずです。
そして、フォーサイトの教材は、講義のCD・DVDが付いているのが特長です。講義を聴きながら、ノート(テキスト)に書き込んでいくスタイルなので、知識のインプットだけでなくアウトプットまで考えて作られています。通信教育ですが、学校に通っているかのような感覚で勉強を進めることができます。
さらに、人気の「バリューセット2 DVDコース」、「バリューセット2 CD+DVDコース」は教育訓練給付制度の対象となっており、学費の20%がハローワークから給付されます。制度の適用を受けられる人には特におすすめです。
但し、注意点が一つ。フォーサイトの教材はCD・DVDが必ずセットになっています。つまり、授業を聞きながら、見ながらの勉強が必須になります。人によっては、この授業CD・DVDを不要に思う人もいるかと思います。
授業は全く見ずに、自分のペースで自習型で進めたい人にとっては、逆にフォーサイトの教材は向いていません。この場合のおすすめはユーキャンの教材です。
ユーキャン
ユーキャンの教材はシンプルな構成です。
テキストは2色刷りで、科目ごとに分かれています。イラストや漫画でわかりやすく説明されているので、初学者にもわかりやすいテキストです。
合格実績も数多くあり、シンプルだからといって内容が不足しているということもありません。
また、こちらも教育訓練給付制度の対象なので、適用になる人なら、学費の20%がハローワークから給付されます。
フォーサイトの教材との大きな違いは、講義CD・DVDが無いことです。授業なしで勉強を進めていける点がメリットでもあり、人によってはデメリットに感じるでしょう。ユーキャンは昔ながらの通信教育というか、独学向きです。
教材は、合格への大事なパートナー
行政書士の試験は年に1回しかありません。ヤマを張って運がよければ受かる、という考えでは、合格するまで何年かかるかわかりません。1つの教材を最後まできっちりやって、しっかりと合格する力をつけることが重要です。
教材は、勉強の最初から最後までやってこそ、最大限の効果を発揮します。「この教材は難しかったから、今度はこれにしよう」とコロコロ変えるようなものではありません。合格まで一緒に歩む大事なパートナーですから、じっくり選んで、しっかり使いましょう。