契約書を複数作成した場合の課税関係

契約書は、各契約当事者が1通ずつ所持するのが一般的ですが、これは「契約の当事者がそれぞれ相手方当事者等に対して成立した契約の内容を主張・証明するために作った」ということになります。

場合により、契約当事者の一方が所持するものに正本または原本と表示し、他方が所持するものに写し、副本、謄本等と表示することがあります。しかし、写し、副本、謄本等と表示された文書であっても、次のような形態のものは契約の成立を証明する目的で作成されたことが文書上明らかなため、印紙税の課税対象になります。

  1. 契約当事者の双方または一方の署名又は押印があるもの
     
  2. 正本等と相違ないこと、または写し、副本、謄本等であることなどの契約当事者の証明のあるもの

なお、所持する文書に自分だけの印鑑を押したものは、契約の相手方当事者に対して証明の用をなさないものであるため、課税対象とはなりません。

また、契約書の正本をコピー機で複写しただけのものは、単なる写しにすぎないため課税対象とはなりません。

印紙税は、契約の成立を証明する目的で作成された文書を課税対象とするものなので、一つの契約について2通以上の文書が作成された場合、その全部の文書がそれぞれ契約の成立を証明する目的で作成されたものであれば、全て印紙税の課税対象となります。

契約書は1部だけ、後はコピーで印紙代節約

契約書を作る際、双方が押印したものを持つために2部作ることが一般的です。

しかしこの場合、印紙を両方に貼らなくてはいけません。2部作れば2倍、3部作れば3倍の印紙代がかかります。

もし、「わざわざ押印したものでなくてもいい、手元には写しで十分」ということであれば、契約書は1部だけ作りましょう。

そして、各自押印して印紙を貼り、割印して契約書を作ったら、それをコピーしましょう。コピーしたものには印紙代はかかりません。

但し、コピーしたものであっても、その後に書き足すと課税対象となることがあります。例えば、コピーしたものに契約当事者が押印したり、正本と相違ないことの証明などを書き加えた場合は、単なる写しではなくなってしまうため、課税対象になることがあります。

しかし実は・・・単なるコピーは証拠能力としては弱く、相違ないことの証明がないと証拠能力が不十分だったりします。それを踏まえた上で、コピーにするか複数部作るか検討しましょう。


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